2024/03/31

土台継手のメス伸び240㎜ ぶっちゃけシリーズvol.5

 『ぶっちゃけ、みんな、どうしてる?』vol.5


   土台継手のメス伸び240mm   

※どこ探しても参考例が無い、聞く相手もいない、自分の頭で考えてひねり出す、それが日常茶飯事、構造屋の仕事です。そんなこんなで、自己流でやってるけど、ほんとは合っているのか不安だ、、、。
『ぶっちゃけ、みんな、どうしてる?』シリーズでは、みんなが自己流でやってそうなトピックを取り上げてます。稚拙を暴露する恥を忍んで、私の自己流を載せてます。
ぜひ、みなさんも自己流を、コメントにお寄せ下さい。



■土台継手のメス伸び240㎜■

前回の「ぶっちゃけ、みんな、どうしている? vol.4  土台継手のアンカーボルト位置」は、土台継手のアンカーボルトの位置をどのくらいにするにか?という、話をしました。


今回は、「土台継手のメス伸び240㎜」の話です。

前々回の「ぶっちゃけ、みんな、どうしてる? vol.3 土台の継手」で、土台の継手は、「メス伸び」にするか、「オス伸び」にするのか、の話を書きました。

わたしは「メス伸び」にしている。とも、書きました。

では、メス伸びは、柱からどのくらい伸ばすのか(持ち出すのか)?


土台の継手をどのくらい柱から伸ばすのか?、、、、木造は、いつだって、こういうところの文献がないんですよね、、、。

ぶっちゃけ、みなさん、どうしてます?

わたしは、「240㎜」にしてます。

なんで「240㎜」?

昔、プレカット屋さんに、教えてもらってから、「240㎜」にしているだけです、ハハハ。

まぁ、これが、本音なんですが、もうちょっと、真面目に考えてみます。


柱持出=4M材-20㎜x2-120㎜/2-3640㎜=260㎜以下

4M材は定尺なので、理由はありません。

20㎜は、材端の切り落とし分です。材端は狂いがあるので、定尺4Mを丸っと4Mは使えない。なので、材端をいくらか切り落とす。どのくらい切り落とすのかは、よく知りませんが、20㎜くらいみとけば、いいだろう~くらいの感じです。(てきとうで、すいません、、)

3640㎜は、3640㎜です。わざわざ書かなくても、わかりますよね?

120㎜/2は、柱材角の半分です。105㎜、120㎜ありますが、不利側で120㎜にしてます。

ということで、事実上、柱持出は260㎜以下にするしかない。

下の絵を見てもらった方が、わかりやすいです。



だったら、柱持出は260㎜でいいんじゃない?

とも、思うのですが、とりあえずは、わたしは、プレカット屋さんに教えてもらった「240㎜」を採用しています。


設計でメス伸びを何ミリにするのか?とか、こうのって、構造屋さんによって、違うと思います。

木造って、こういうところ、ファジーです。

ほんとは、実際に加工をする、大工さん、プレカット屋さんに、定尺の材端切り落としや、加工寸法を教えてもらえたら、設計にフィードバックできるのになぁ、なんて思います。

今度、聞いてみようかしら?


あっ、なにか、ご存知の方、いらしたら教えてください。

コメント、お待ちしてます。


次回は、「ぶっちゃけ、みんな、どうしてる?vol.6  間崩れとアンカーボルト」です。


他の『ぶっちゃけ、みんな、どうしている』シリーズも、見てね。

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2024/03/30

土台継手のアンカーボルト位置 ぶっちゃけシリーズvol.4

『ぶっちゃけ、みんな、どうしてる?』vol.4


   木造 土台継手のアンカーボルト位置   

※どこ探しても参考例が無い、聞く相手もいない、自分の頭で考えてひねり出す、それが日常茶飯事、構造屋の仕事です。そんなこんなで、自己流でやってるけど、ほんとは合っているのか不安だ、、、。
『ぶっちゃけ、みんな、どうしてる?』シリーズでは、みんなが自己流でやってそうなトピックを取り上げてます。稚拙を暴露する恥を忍んで、私の自己流を載せてます。
ぜひ、みなさんも自己流を、コメントにお寄せ下さい。



■土台継手のアンカーボルト位置■

前回の「ぶっちゃけ、みんな、どうしている? vol.3  土台の継手」では、「オス伸び」と「メス伸び」の、どっちを皆は使っているのか?という話をしました。

今回のブログ記事は、「土台継手のアンカーボルト位置」の話です。



皆さんは、土台継手のアンカーボルト位置は、どのようにしていますか?


わたしは、土台継手を「メス伸び240㎜」とし、アンカーボルト位置は柱芯から400㎜と200㎜の両側に配置しています。



柱芯から200㎜というのは、まぁ、大体のいろんな書籍に書いてあるので、それに倣っているだけなので、特に何も考えずにそうしているのですが、、、(これも、なんで200㎜なんでしょうね?)


問題は、上図の左側のアンカーボルトの方です。

土台継手のアンカーボルトの位置をどのくらいにするのか?

わたしの知る限り、土台継手のアンカーボルトの位置をどのくらいにするのかを明確に示している文献はありません。(もしかしてあるかも、、、知っている方いらしたら、教えてください)


そのため、わたしは、メスの方の端から160㎜行ったところに、アンカーボルトを設定してます。



なんで、160㎜?

スクリューワッシャの頭を想定して土台にあける孔径を21㎜に設定した場合の絵が下の絵です。オスの端あきが、149.5㎜です。柱の引抜を考えると、オスの端あきを、とっておきたい。理由としては、そんな感じです。




なんとなく、柱の引抜で、土台に上方向に曲げが加えられたときに、土台の孔から誘引されて、割裂されるんじゃないかなぁ、、、と。

よくは、わかりませんけどね、、、個人的に、嫌な感じがするだけなのですが。。


でも、アンカーボルトの位置を離せば、離すほど、柱の引抜に対しては、不利になっていくので、400㎜は、やりすぎかなぁ。。。


350㎜なら、端あきが、99.5㎜になる。

300㎜なら、端あきが、49.5㎜になる。


土台継手のアンカーボルト位置は、350㎜でもよさそうだなぁ、今度から350㎜にしようかなぁ。。。どうしよう、、、。

うん?その前に、鎌んところで、先に壊れちゃうか?

だったら、やっぱり400㎜にして、割裂を回避する方がベターなのか?

う~ん、悩ましいな~。



他の構造屋さんは、どう考えているんだろう、、知りたいな。

こんなこと気にしてるの、もしかして、わたしだけだったりして。気にしすぎ?


次回は、「ぶっちゃけ、みんな、どうしてる?vol.5  土台継手のメス伸び240㎜」です。


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2024/03/29

構造屋の本棚 木造サッシ 「標準規格寸法」

 紹介している本:「標準規格寸法」平成25年




内容は、木造(在来工法・2x4工法)の窓の本です。

下記の分類で、標準寸法・納まり図が、かなり詳しく、掲載されています。

・大壁、真壁

・半外付け、外付け

・入隅おさまり

・アルミサッシ、樹脂サッシ

・アングル付き、アングル無し

・玄関ドア、勝手口ドア


意匠図がアンニュイな絵の場合は、構造屋が窓寸法に合わせて柱位置を決定しなくちゃならないこともあります。


また、リフォームなどで、窓を既存撤去・新設する場合などで、かなりシビアに窓の納まりを抑えなければならない時にもあります。


そんな時に、この「標準規格寸法」の本が、大活躍します。


以前は、一般社団法人 日本サッシ協会から購入できたはずですが、

今は、書籍としての販売はされていないようです。

ですが、日本サッシ協会のホームページから2010年版が無料でダウンロードできます。

ホームページ >お役立ち情報>技術資料>住宅用サッシの関連法令・基準


眺めるだけでも、けっこう楽しいので、良かったら、ダウンロードしてみてくださいね。


では、また。


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2024/03/28

木造耐震改修 あと施工アンカーは施工が大事

耐震改修では、RC、S、木造、どの構造種別でも、あと施工アンカーが使われています。


今回のブログ記事は、木造耐震改修のあと施工アンカーの施工には十分に気を付けなければならない、という話です。

わたしの失敗談を通して、なぜ、木造の耐震改修では、あと施工アンカーの施工が大事なのかが、わかって頂けたら、嬉しいです。



わたしは、昔、耐震診断・改修をメインにしている構造設計事務所に勤めていました。

公共建築物がメインで、RC造の学校校舎、S造の体育館などが多く、木造の校舎などは案件自体がありませんでした。

それが、たまたま木造の幼稚園の案件がでて、わたしが担当することになりました。



わたしの失敗談というのは、その木造の耐震改修の監理業務での「あと施工アンカー引張試験」立会検査でのことです。



引張試験には、ちぎれるまで引張る「破壊試験」と、所定の強度を確認するまで引張る「非破壊試験」の2つがあります。

「あと施工アンカー引張試験」は、部材を壊さない「非破壊検査」になります。

「あと施工アンカー引張試験」で実際に用いる検査器具は、油圧式加圧装置というものが使われていて、認定資格を持っている技術士が行います。

※あと施工アンカー引張試験については、こちらのサイトが参考になります。↓

https://anchor-tools.jp/examination/anchor-test/oil.html


RC造やS造の耐震改修においては、必ず「あと施工アンカー引張試験」を行います。

木造の耐震改修でも、必ず「あと施工アンカー引張試験」を行うのでしょうか?

その当時、木造の耐震改修といえば、戸建て住宅というのが普通で、旧耐震以前の木造の公共建築物の存在自体がありませんでした。そのため、木造の耐震改修のルール的なものがありません。

つまり、どうすべきかは、誰も知らないのです。

わたしのバカな行動は、ここからすでに始まっていました。

RC造やS造しか経験がなかったので、当然「あと施工アンカー引張試験」を行うべきと判断しました。そして、所定の引張強度の確認をするのが、当然だとも思っていました。



さて、立会い検査当日のことです。

現場には、現場代理人、監理者のわたし、検査の準備にまごついている技術士、3人がそろっていました。

RCやSなら、いざしらず、木造の検査はしたことがない技術士の方は、いつもと勝手が違うので検査装置をセッティングするのに、手間取っていました。

現場代理人も、普通の木造専門の工務店の方で、「あと施工アンカー引張試験」は、初めてです。興味深々で、技術士の様子を眺めています。

検査装置の準備もでき、いよいよ、あと施工アンカーを引っ張ります。

装置は静かなものです、引張られているのかどうかは、装置のゲージの針でしか確認できません。

3人とも、ゲージの針の様子を見ていました。その時です。

ミシ、、ミシ、、ミシ、、

不穏な音がしました。音がする方を見ると、

検査装置の足が、土台にめり込まれていきます。

3人とも、それを目にしましたが、全員、何も言いません。

装置のゲージの針は、所定の強度までは、まだまだ足りません。

土台にめり込もうが、なんだろうが、引っ張るしかないわけです。


技術士の方は、何か言いたげでしたが、黙っています。

現場代理人は、そもそも初めてのことなので、よく状況がわからないが、不穏な音を耳にし、落ち着かない様子です。


わたしは、やばいなと思いつつ、強度が出るまで、土台がもってくれることを祈りつつ、ゲージの針を見つめていました。


ミシ、、ミシ、、ミシ、、、

パシーン!


「とめてくださいっ!ここまででOKです」

強烈な破裂音に、そう言うしかありませんでした。

わたしの言葉に、技術士、現場代理人は、ほっとした様子でした。


幸い目視上は、土台に亀裂などはなかったですが、土台の内部では、どうなっているかは、確認のしようがありません。


あと施工アンカーの所定の強度というのは、アンカーボルト(つまり鉄の強度)をもとに算出します。そのため、土台の圧縮強度よりも、大きいのです。

当然、今回のように引張試験を行えば、アンカーの引張強度の前に土台の圧縮強度の限界を超えてしまい、土台の破壊に至ります。


ちょっと考えてれば、分かることです。

RCやSしか経験のなかったわたしは、そのことに気づく事ができませんでした。何でも、杓子定規に「あと施工アンカー=引張試験」と考えていた、わたしが、バカだったわけです。


そのせいで、非破壊検査で、危うく破壊しそうになりました。


木造の耐震改修では、あと施工アンカーの引張試験はNGというが分かったわけですが、それは、あと施工アンカーの強度を確認することができない、ということを示すわけです。

そうであれば、きちんとした施工がなされることが、なによりも大事になってきます。

きちんとした施工とは、どういったことなのでしょうか?

あと施工アンカーの施工要領の情報は、ネットでもすぐに得ることができます。

構造屋としては、しっかりと、知っていなければならないと、わたしは思います。


~~メモ~~

施工に関しての参考になるサイト

旭化成のカタログ・資料紹介  総合技術資料がおすすめ、個別施工要領でしたらAPを

日本建築あと施工アンカー協会 


~~メモ~~

設計の参考図書は、下の3冊がおすすめです。

・日本建築防災協会 既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準・耐震改修設計指針・同解説

・日本建築学会 各種合成構造設計指針・同解説

・日本建築センター 建築設備耐震設計・施工指針


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2024/03/27

構造屋の本棚 木造 「鉄骨木造併用構造 設計施工管理指針」

紹介している本:「鉄骨木造併用構造 設計施工指針」昭和56年

※現在(2024年3月)、古書として高値で取引されているようです。5年前に入手した時は、1500円で買えたのですが、、、。いつの間にか、3万円もするようになっています。高っ!


鋼材倶楽部(現:日本鉄鋼連盟)の本です。

鋼材倶楽部の本は、当たりなことが多いので、個人的に鋼材倶楽部が好きです。

この「鉄骨木造併用構造 設計施工指針」も、当たりの本です。

内容をひと言でいうと、木造建築物に鋼製ばりを使うときに、と~ても参考になる、です。

具体的な納まり図や、計算例、なんなら断面性能表や、特殊荷重としてピアノや冷蔵庫の重さまで記載してくれています。

いたせり、つくせりです。

この1冊あれば、鋼製ばりの納まり図・検討書が、作れてしまいます。

ありがとう!鋼材倶楽部様!

昭和56年出版ですが、全然、古くなんてありません。現在、このような中身の本は皆無ですので、設計で鋼製ばりを使うときには、非常に助かります。

ほんとに、ありがとう!鋼材倶楽部様!


この本が大好きすぎて、もっといろいろ、お伝えしたいのですが、

わたしが、なんだかんだ言うよりも、

目次を見た方が、より具体的にわかると思います。

なので、下の目次を見てくださいね!


第1章 鉄骨木造併用構造の定義とその実情

 1.1 鉄骨木造併用構造の定義
 1.2 実情調査
 1.3 鉄骨木造併用構造の今後の見通し

第2章 接合部分の施工事例

 2.1 施工事例の選定要領
 2.2 施工実例

第3章 鋼材と木材

 3.1 建築資材としての歴史
 3.2 強度・剛性
 3.3 座屈およびねじり
 3.4 許容応力度
 3.5 それぞれの長所・短所

第4章 溶接の知識

 4.1 溶接の利点
 4.2 溶接の欠点
 4.3 溶接部の欠陥
 4.4 欠陥の調べ方
 4.5 溶接図面の見方

第5章 接合
 
 5.1 釘接合
 5.2 ジベル接合
 5.3 ボルト接合
 5.4 高力ボルト接合
 5.5 溶接接合

第6章 構造計画と構造設計

 6.1 全体計画
 6.2 接合部の設計
 6.3 鋼製ばりの設計
 6.4 振れ止めの設計
 6.5 小屋組トラスの設計
 6.6 鋼製ばりに対する柱の設計
 6.7 筋違の設計
 6.8 基礎の設計

第7章 接合部分標準図

 7.1 標準図作成目的
 7.2 大ばり接合部
 7.3 水平筋違接合部
 7.4 方杖接合部
 7.5 はりの振れ止め接合部
 7.6 屋根トラス接合部
 7.7 けたばり接合部
 7.8 根太接合部
 7.9 間柱接合部
 7.10 柱脚接合部
 7.11 鉛直筋違接合部

第8章 施工上の注意

 8.1 施工順序の重要性
 8.2 間柱の施工
 8.3 大ばりの施工
 8.4 施工時の注意事項

第9章 積算資料

 9.1 資料作成目的
 9.2 断面比較表
 9.3 木造ばりと鋼製ばりとの価額比較表
 9.4 柱とはりの接合金物の価額
 9.5 小屋組トラスの価額

第10章 実例建築物の構造設計

 10.1 建物の概要
 10.2 構造計画の方針
 10.3 施行令第46条による耐力上必要な軸組の長さの検討
 10.4 実例建築物の構造計算

付録
 付録1 荷重に関する資料
  1.1 固定荷重
  1.2 積載荷重
  1.3 特殊な積載物の重量表

 付録2 材料および部材の許容応力度
  2.1 木材の許容応力度
  2.2 鋼材の許容応力度

 付録3 接合部・継手設計資料
  3.1 木造用ボルト
  3.2 鋼材用ボルト・高力ボルト・溶接

 付録4 軸組長さ算定資料
 
 付録5 形鋼の断面性能表

 付録6 鋼製ばり標準断面表
  6.1 使用上の注意
  6.2 標準断面表
 
 付録7 鋼製ばり断面算定図
  7.1 作成過程と利用の仕方
  7.3 鋼製ばり算定図

 付録8 柱設計資料
  8.1 計算を要しない最小径
  8.2 柱算定図

 付録9 ボルト本数算定図

 付録10 関係法令等抜すい

では、また。


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2024/03/26

読む公式  構造屋の勉強の仕方

 ある意匠屋さんが、

構造屋がバカにする、悔しいから、構造を勉強したい。

だから、日建の講義を受けた。

でも、急にbh²/6とか出てくる。

まず、そういうところから、分からん。

と、おっしゃる。


わたしは、内心「なるほどな~」と、思った。

確かに、構造の本は、原理原則をすっ飛ばして、いきなり公式が載っていたりする。

はじめて構造を勉強する人に対して、しょっぱなから味気ない公式をバーンと出されたら、それ以上勉強しようとする意欲が失せてしまっても仕方がない気がする。


これは、こういう公式を使うんだから、黙って、覚えろ!

って、言われたら、勉強するモチベーションは、だだ下がりだ。



個人的意見だが、公式は数学ではないと思っている。

わたしは、公式は読み物だと、思っている。

ここで言っている、読み物という意味は、そのままの意味である。

本を読んで、理解するように、公式は読んで、理解するのが私流の構造の勉強の方法です。

公式は数字やアルファベットで表されているので、本を読むようにはいかない。と、思うかもしれない。

でも、実は、公式の数字やアルファベットの裏には隠された図形の物語がある。

図形の物語を、一度読んで、あらすじを知っていれば、それだけで十分な気がする。

だから公式は覚える必要なんかない。

公式を忘れたら、その都度、本を見れば、それでいいんじゃないんでしょうか?

別に、学校のテストじゃないんですから、本を見たところで、

カンニングはダメと、叱られるようなことは、ないですよね?



試しに、「読む公式」シリーズを書いてみようと思います。

構造の勉強の合間にでも、箸休め的に、読んでいただけたら嬉しいです。


第1弾は、「断面係数」です。

それでは、また。

2024/03/25

見学会で、木材屋さんに教えてもらった

見学会で、木材屋さんに教えてもらった

わたしの普段の行動範囲は、自宅の半径500m以内です。

一日の歩数が、98歩の時もあります。

今日は、遠出しました。

28㎞、車で1時間ちょっとでした。

目的は、神奈川県にある「横浜連合木材」さんという、木材の問屋さんの見学会に参加するためです。


木材の問屋さんといっても、物流センターのみたいに、大規模です。

見学会で、何をしたかというと、ただ、ただ、木材を見るだけです。

ただ、ただ、木材を見るだけが、異常に面白い。

木材屋さんが、「この木材は、○○で~」と解説をしてくれます。

「ほ~、へ~」が、止まりません。


木材屋さんの、深い知識に脱帽です!


あんなに教えて頂いたのに、残念なことに、

「日本三大美林」と「アイアンウッド」しか、

覚えていません。


日本三大美林というのは、

・青森ヒバ

・秋田スギ

・木曽ヒノキ

高価で貴重な、天然木だそうです。

「日本三大人工林」というのも、あるそうです。

どこ産なのかは、覚えられませんでした。

興味のある方は、ググって下さい。


アイアンウッドというのは、

薬剤を繊維に浸透させることで、

鉄(アイアン)ように、超、固い木材を実現させているそうです。

そして、水に沈むくらい重いのだそうです。


木って、おもしろいです。


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2024/03/24

建物を一体にしたいときは、エキスパンション・ジョイントを設けます。 それは、間違いです。

建物を一体にしたいときは、エキスパンション・ジョイントを設けます。

それは、間違いです。

構造的に建物を分離したいときに、エキスパンション・ジョイントを設けます。

・L字になど形状が不整形で、構造的に不利になる場合

・既存の建物を増築する場合

・外部鉄骨階段などの付属建築物などを分離して検討したい場合

などなど、、。

EXP.Jを設ける理由は、さまざまであるが、大体においてその目的は、意匠的には一体として使いたいのでくっつけておきたいが、構造的には一体にしたくない、そんなところである。

なので、建物間には所定のクリアランスを設けて、構造的には分離した建物として検討し、クリアランスにEXP.Jカバーを設けることで、意匠的には1体として使用可能なようにする。


構造屋なら、こんなことは、特段、言われるほどのことではなく、みんな知っている。

構造屋なら、そう、構造屋なら常識、、、構造屋ならね。

しかし、失念してはいけない。

自分(構造屋)にとっての常識が、必ずしも構造屋以外の人にはとっても常識とは限らない。


EXP.Jにまつわる出来事で、

「これは、一本取られたな、たしかにジョイントだよね!」

と、思ったことがある。

今回の話は、そんな出来事の話です。



木造の建物に、軽量鉄骨のバルコニーが付属する。

この付属するバルコニーについて、構造屋さんの意見が聞きたい。

わたしの友人の知人の知人、どこの誰べえさんか、よく知らない人から、相談の電話がきた。

良く知りもしない、わたしにまで、つてを頼って連絡をしてくるのだから、よっぽど困っていらっしゃるようだ。

相談の内容は、確認審査機関から、「バルコニーの検討書を添付してください」と言われたことについてだった。

図面を見てみると、バルコニーに2本柱があって、木造本体にくっついている。なんてことはない、よく見かけるものだ。

検討書をつけろ、というのであれば、その2本の柱の部材検討書をつければ、良いだけのように思われる。

ところが、相談者は、「審査機関から、独立したものとして、検討が必要と言われた」という。

「バルコニーにEXP.Jを設けたのですか?」と尋ねると、「そうだ」と言う。

「それであれば、柱を4本、ブレースなどを設けるとかしないと、構造的には成立しませんよ」内心は、なぜ一体にしないのかという疑問を持ちつつ、そう答えた。

「でも、EXP.Jで接続しているのに、そこまで必要なんでしょうか?」と、明らかに、図面変更をしたくなさそうに、相談者が言う。

「ええ、必要ですね」と答えると、

「もし、そうなら、図面の作成と計算をお願いできますか?」と、相談者は言う。

「はい、大丈夫ですが、図面はこのままにして、本体と一体に計算できないかと、本体の構造屋さんに相談されてみては、どうですか?」と、進言しておいた。

電話なので、相談者の顔は見れない、だけれど、声色的に、「納得いかない」感じが伝わってくる。

それでも「分かりました、ありがとうございます。また、お電話するかも知れません。」

といって、相談者は電話を切った。

その後、その相談者から電話が来なかったので、きっと、なんとかなったのだろう。



この件とは別の話ですが、

木造の本体に鉄骨造が付属する案件の仕事をした時のことです。

木造の部分は、別の構造屋さんが担当していました。

元請さんから

「図面にEXP.Jの表記がありますが、一体ではなく、独立して検討をお願いできませんか?」

とメールが来た。

そのメールを見て、最初は頭がハテナマークになってしまいました。

「EXP.J=一体」と、この人は、言っている。なぜ?

はっ、そうか!

エキスパンションジョイント!

ジョイント!

ジョイントはつなげるだ!

ということは、エキスパンションジョイントとは、建物と建物をつなげるということになる。

なるほど!

だったら、確かにEXP.jは一体ですよね

これは、一本、取られたな!

と、苦笑してしまいました。



そして、以前、相談してきた人が、納得していなそうだったわけが、ようやく理解できました。


相談者はEXP.jを設けて、木造本体とバルコニーを一体にしたつもりだった。だから簡素な作りでも大丈夫なはずと思っていた。


だが、審査機関は、EXP.Jを設けているならバルコニーを独立して計算せよという。

おかしいと思って、構造屋(私)に相談したら、解決するどころか、バルコニーを4本柱にしてブレースもつけろという。


相談者にしてみたら、EXP.j(一体)にしたいのに、思わぬ方向に話が行ってしまう。

どうしてなんだ、、、

と、思ったことだろう。


あのとき、相談者の勘違いに気付いていれば、相談者の悩みは簡単に解決できたはずなのに、解決するどころか、さらに悩まさせてしまっただろう。

非常に、申し訳ないことをしてしまった。


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2024/03/23

構造屋の本棚 木造 「日本建築構造改良法」

■構造屋の本棚 木造 「日本建築構造改良法」■

紹介している本:「日本建築構造改良法」明治24年





木造の構造屋さんだったら、絶対、見ておくべき1冊です!

百聞は一見に如かずです。
10分も、かかりませんので、今すぐに、
「国立国会図書館デジタルコレクション」のサイトにアクセスし、
サイト内の検索窓に「伊藤為吉」と入力し、
一覧の中に「日本建築構造改良法」が出てくるので、
クリックしてください。
閲覧は無料です!


本は明治時代の文字で書かれているので、
「うっ、読めない」となりますが、
読まなくていいです。

どんどんページをめくって行って下さい。
すぐに、挿絵がたくさん出てくるようになります。
どうですか?見ましたか?驚きですよね?


その挿絵は、現代の木造の接合部の金物とそっくりです!!

この本は、明治24年、出版されてます。

時代を超えた明治24年には、すでに、木造の接合金物そのものが、存在していたわけです。

この本を書いたのは、発明家でもある、伊藤為吉という建築家です。

伊藤為吉という建築家は、偉大な建築家に違いありません、すごい人です。


もしも、明治に出版されたこの本が勧めている日本の家屋の改良法を、この時代から取り入れられていたら、たくさんの人命が救われいたことだろう思います。
そう思うと、やるせない気持ちになります。


とにかく、まずは、この本を見てみて下さい!

木造に構造屋さんには、一見の価値ありだと思います!

手に取って、紙ベースで見てみたい人は、
国立国会図書館の「図書複製版」が、出ています。
原書は古書として高値で取引されているようですが、
「図書複製版」は3000円程度で、手に入ります。

では、また。

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2024/03/22

木造の通り符号 その2

 木やるなら、そこんとこヨロシク! vol.2

 木造の通り符号 その2

前回の記事では、木造の業界では、人によって違う2種類の「通り符号」の振り方が使われていることを話しました。(前回の記事は、こちらからどうぞ。)

2種類の「通り符号」とは

点を左下に取り、
左から右へ「X1、X2、X3、、、」
下から上へ「Y1、Y2、Y3、、、」


基点を右上に取り
右から左へ 「い、ろ、は、、、」
上から下へ 「一、二、三、、、」



今回の記事では、木造の業界で、人によってなぜ「通り符号」が違うのか、設計側、施工側の立場になって、考えてみます。

・設計側の「通り符号」→ 意匠屋さんの立場から考えてみる
・施工側の「通り符号」→ 大工さんの立場から考えてみる

各々の立場になって考えてみれば、木造の業界で「通り符号」を統一するのが、難しいというのが理解できるようになります。

意匠屋さんの立場から考えてみる(設計側の「通り符号」)


大体の意匠屋さんは、建築系の学校を卒業しています。
学校で学ぶ「通り符号」の振り方は、ご存知の通り、下のようになっています。

点を左下に取り、
左から右へ「X1、X2、X3、、、」
下から上へ「Y1、Y2、Y3、、、」

そのため、意匠屋さんは、疑うことなく「通り符号」を振っています。
(その点は、RCやSの構造屋さんも一緒ですので、充分に理解できると思います。)




話は変わりますが、
工務店さんがお施主さんの窓口になり、意匠屋さんに確認申請などを外部委託する、そんな仕事の流れが、木造業界にはあります。

わたしが取引していた工務店さんは、スタイルの異なる意匠屋さん2人を外部委託先として揃えていて、お施主さんの好みによって、担当する意匠屋さんを変えていました。

そこの工務店の案件の構造に関しては、わたしが全て受けていました。

工務店さんが現場で使っている「通り符号」は、

基点を右上に取り
右から左へ 「い、ろ、は、、、」
上から下へ 「一、二、三、、、」

でした。

ところが、2人の意匠屋さんは

点を左下に取り、
左から右へ「X1、X2、X3、、、」
下から上へ「Y1、Y2、Y3、、、」

のタイプを使います。

一番、困るのは、施工と設計の間にいる、構造屋のわたしです。

毎回、毎回のことに、辟易したわたしは、意匠屋さんに、現場に合わせて「通り符号」を振ってくれるよう、頼みました。

1人の、意匠屋さんは、快く了解してくれました。
もう1人の意匠屋さんは、取り付く島もないもないほど、ピシャリと断られてしまいました。


設計者がである意匠屋さん達の中でも、人によって「通り符号」の振り方への、こだわりが違うのでしょう。

 おそらく、快く現場に合わせて「通り符号」の振り方に替えてくれる意匠屋さんは稀で、学校で学んだ「通り符号」の振り方を、曲げない意匠屋さんの方が普通だと思います。

わたし自身も、構造屋で設計者側なので、その気持ちは分かります。


大工さんの立場から考えてみる(施工側の「通り符号」)


大工さんの使う「通り符号」は、日本語の書き順になっています。

本来の日本語の書き順は、新聞記事のように、上から下へ降りていき、段落は右から左へ移ります。

図面に描く「通り符号」は、起点を右上に取り、右から左へ、「い、ろ、は、、」、上から下へ、「一、二、三、、、 」になります。

元来、大工さんからしたら、これが「通り符号」です。


もう少し、大工さんが使う「通り符号」について、深く考えてみます。

RCやSに比べて、木造は、とにかく部材の数が多いです。

大工さんは、1日で全ての部材を組み上げ、棟上げしてしまいます。(すごいですね!)

時間勝負なので、棟梁は、棟上げの日には、助っ人の大工さんを呼んで、大人数で、作業します。

部材の数が多いうえ、作業する人も多い、そうなれば、いろいろ混乱が起こりそうです。

こっちに、刺すはずの柱が、誰かが間違って、あっちに刺してしまっていて行方不明に、、、「お~い、ここの柱が無いぞ、どこ行った?」なんてことが現場では起こりそうです。

こういったことにならないように、部材の1つ1つには「番付け」がされています。

「番付け」とは、部材である木材に、通り符号を書き込んで、印をつけることを言います。たとえば、い通りの5の柱には、「い五」と、いった風にです。

この印があれば、誰が見ても、部材の正確な配置が分かります。

番付があるので、部材の数が多くても、作業する人数が多くても、大工さん達は、混乱することなく、1日で組み上げることができます。

また、大工さん達の共通認識として、通り符号は「下り方向」に読むというのが、あります。「下り方向」とは、先に言ったように、起点は右上、右から左へ「い、ろ、は、、」上から下へ「一、二、三、、」のことを指します。

みんなが、同じ「下り方向」で、通り符号を認識しているからこそ、現場は混乱せずに済みます。

木造の「部材数が多い」という特徴は、建て方のときにデメリットになりますが、「番付け」することによって、大工さん達は問題解決しているわけです。

大工さん達にとっては、組み上げるための「通り符号」は、必要不可欠なものです。

設計者側にはない、施工側である大工さんの「通り符号」の使い道ですね。


余談になりますが、

ある大工さんに、聞いてみたことがあります。

「現場で使う符号と、設計図が違うと混乱しないのか?」

大工さんの手には、施工図であるプレカット図と設計図が握られています。

プレカット図は大工さんが使う「通り符号」になっています。

その大工さん曰く、

「もらった図面は、全部、書き替えているから、平気ですよ」

とのこと。

大工さんの手にある設計図は、鉛筆で符号が書き直されていました。


大工さんが使う「通り符号」は、親方から弟子へ、受け継がれています。

そのため、熟練になればなるほど、「通り符号」を変えることに、抵抗感を感じるのではないのかと、思います。


結局、木造の業界では「通り符号」がバラバラなのがデフォルト

設計者側には、設計者側の、本筋があり。

施工側には、施工側の、事情がある。

こちらを立てれば、こちらが立たず、です。

なので、当分は、木造の業界では「通り符号」がバラバラなのがデフォルトのままだと思います。

ですが、業界全体では、設計者側が使っている「通り符号」をデフォルトにする流れにあるようです。

大分、時間はかかるでしょうが、木造の業界でも「通り符号」は統一されるかも知れません。


〇おまけ〇

個人的な意見を言わせてもらえば、大工さんに合わせて「通り符号」を統一したらどうかと思っています。今の業界の流れと逆行するので、おそらく無理でしょうが。

ある柱の位置を

「えっくすいちの、わいごの柱」

と耳で聞いた時と、

「い、の、ごの柱」

と聞いた場合では、
大工さんの「通り符号」に軍配が上がります。
他人に、ある位置を伝達する時、アルファベット+数字、アルファベット+数字、よりも、文字+数字の方が、明らかに、伝えやすいし、相手も理解しやすいです。


それに、現場で、柱に刻まれた番付が

「X1-Y5」と「い五」、どちらが、いけてるか?

わたしは、断然「い五」が、いけてると思います。

「日本の建築物、木造!」って感じがします。

建築にロマンを求めちゃいけないでしょうか?


次回は、木造の定尺について、説明します。


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2024/03/21

木造の通り符号 その1

木やるなら、そこんとこヨロシク! vol.1

 木造の通り符号 その1

わたしが木造の業界で、悩まされていることの1つに、「通り符号」の問題があります。


「通り符号」の振り方は、下のようにします。

基点を左下に取り、
左から右へ「X1、X2、X3、、、」
下から上へ「Y1、Y2、Y3、、、」

RC造やS造の構造屋さんは、わざわざ言われなくとも、ご存知ですよね。
構造屋さんに限らず、RC造やS造の業界では、関係者一同、全員の一般常識です。



ところが、木造の業界では、違います。
業界内では、2種類の「通り符号」の振り方が使われています。

1つは、ご存知の「通り符号」の振り方、

基点を左下に取り、
左から右へ「X1、X2、X3、、、」
下から上へ「Y1、Y2、Y3、、、」

もう1つは、以下のような「通り符号」の振り方です。

基点を右上に取り
右から左へ 「い、ろ、は、、、」
上から下へ 「一、二、三、、、」

やっかいなことに、木造の業界内の関係者の中で、「通り符号」がバラバラなのです。

設計側の人間も、人によって「通り符号」の振り方が違います。
施工側の人間も、人によって「通り符号」の振り方が違います。




わたしは、RC・Sの業界から、木造に来た口です。

はじめは、木造業界で「通り符号」がバラバラに扱われている事実に面食らいました。

しばらく木造の業界にいるうちに、「通り符号」がバラバラなのは、ちゃんと理由があるということに気づきました。

理由に気づいたと同時に、木造業界で「通り符号」を統一することは、恐らく現時点では難しいだろうという思いに至りました。




RC造やS造の構造屋さんは、木造の仕事をするときには、次のようなことに悩まされることとなります。

・案件ごとに通り符号に振り方が違う。そのため、案件ごとに、頭を切り替える。

・設計図の通り符号を、現場が使っているとは限らない。現場で「通り符号」を振りなおしているケースがある。そのような場合は、構造屋は、現場との意思疎通を計るため、設計図の「通り符号」を現場が使っている「通り符号」に読み替えて伝達しなければならない。



RC造の構造屋さん、S造の構造屋さんが、木造の業界で構造をやろうとすると、「通り符号」の問題で、煩わしい思いをすることになります。

根本的な解決にはならないですが、
なぜ木造の業界で「通り符号」がバラバラなのか、その理由を知っているか、知らないかでは、心の持ちようが変わってきます。



理由については、


では、また。

『木やるなら、そこんとこヨロシク!』シリーズは、
RC造や、S造の構造屋さんで、木造にも手を付けたいと考えている方に向けて書いてます。わたし自身、RC・S造から木造に手をつけた口です。木造の計算も、戸惑うことが多いのですが、その辺は、大丈夫です。なんとかなります。それよりも、木造の業界の体質の方が、悩ましいです。

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2024/03/20

構造屋の本棚 構造全般 「新 建築土木 構造マニュアル」

構造屋の本棚

構造屋の本棚には、どんな本が並んでいるのか?
構造屋が、どんな本で学んでいるのか?
構造屋の新米さんも、古参の構造屋さんも、他の構造屋さんが、どんな本を読んでいるのか興味ありませんか?
わたしは、他の構造屋さんがどんな本を読んでいるのか、すごく興味があります。
まだまだ構造屋としては勉強不足ですが、わたしの本棚から「これはいいよ!」とおすすめできる本を紹介します。

■構造屋の本棚 構造全般■

紹介している本:「新 建築土木 構造マニュアル」2004年出版



2次部材の計算ソフトを導入せずとも、この本が一冊あれば、大体のことができちゃいます。

片持ちばり、単純ばり、はね出しばり、固定ばり、連続ばり、、、。

片流れラーメン、門型ラーメン、山形ラーメン、異形ラーメン、ヒンジラーメン、、、、。

ワーレントラス、キングポスト トラス、方づえ付きトラス、、、、。

RC・Sの部材検討、基礎の検討、杭の検討、、、。

ありとあらゆることが、この本一冊に詰まってます。


また、計算公式の数が、凄いことになってます、この本作った人は鬼です!

なんと、はりの計算公式だけでも、149パターン、あります。

全てのパターンの1つ、1つに、モデル図・Q図・M図の図示があり、

もちろん、反力・M・Q・δ等の計算公式も載っています。


最近は2次部材も計算ソフトで検討するのが、主流になってきてます。

ですので、この手の本は、だんだん需要がなくなってしまうのでしょうね。

結構、メジャーな本だと思うのですが、まだ、お持ちでない方がいらしたら、1冊、お手元にいかがでしょうか?

構造力学が大好物の人には、たまらない一冊ですよ!

では、また。


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2024/03/19

構造屋の仕事の在り方は、非人道的

 社会人デビューする姪っ子に、マイ段ボールの話をしたら、泣かれてしまった話です。


構造屋の仕事の在り方は、非人道的


姪っ子が、今年、社会人デビューするという。

「社会は理不尽なことが、たくさんあるけど、経験だと思って、世間の荒波に揉まれるといいよ~」

うん、うん、と姪っ子は頷いている。

姪っ子は、デタラメに生きている大人の話でも、ちゃんと真剣に聞くことができる、できた子です。


「わたしがブラックな会社にいたときは、毎日、残業だったな~。ブラックだから、残業代でなかったし、時給換算したら500円だったよ!」


「えっ、500円!?」

今どきの子にしたら、500円なんて、考えられないだろう。


「疲れ切ってるから、終電で寝ちゃってね、自分のとこの駅を乗り越して、終着駅まで行っちゃうのよ。でも、そんな時間に、電車ないわけ、帰れない。だから、もうホテルに泊まってね、次の日は、そのホテルから会社に出社する。なんてことも、あったな~」


「、、、、、 」

だんだん、姪っ子の顔が曇ってくる。

わたしは、昔のことをいろいろ思い出して、なんだか懐かしくなってきたので、ノリノリで話を続ける。


「もうね、家に帰るのは諦めてね。会社の床に寝てたな~。でも、床って固いし、冷たいの、だから、段ボールを敷いてね、段ボールって、すごいよ。あったかいの。会社の先輩も会社に寝泊まりしてたから、それぞれ、マイ段ボールを用意してね、、て、えっ?」


姪っ子の目に、涙が浮かんでいる。

「なんで?」と思ったが、姪っ子の悲しそうな表情から察するに、

「おばさん、ひどい目にあって、かわいそう」

という、ことのようだ。


「え~と、建築業界って、こんなのが当たり前というか、みんな、同じような感じだから。それに、ほら、あれだ、建築業界が、ちょっと特殊ってだけで、他の業種は、違うと思うから。わたしは、他の業種のこと、あんまり知らないけど。。違うと思うよ!大丈夫だから!」

姪っ子は、わたしに同情していたので、この発言は、ピント外れだ。

だけど、姪っ子を悲しませてしまったことがショックで、慌ててしまった。


「昔、苦労して修行したから、こうして、独立してフリーで仕事できてるし、今は、そんなことないからね、ね?」

一応、フォローはしてみたが、姪っ子に伝わったかどうかは、わからない。


姪っ子は、構造屋の実態に、ショックを受けたようだったが、

わたしは、姪っ子がショックを受けたことに、ショックを受けた。

いつのまにか感覚が麻痺して、分からなくなってしまっていたようだ。

構造屋の仕事の在り方は、非人道的だ。


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2024/03/18

構造屋の本棚 木造 「住宅と木材」機関誌

構造屋の本棚 木造

構造屋の本棚には、どんな本が並んでいるのか?
構造屋が、どんな本で学んでいるのか?
構造屋の新米さんも、古参の構造屋さんも、他の構造屋さんが、どんな本を読んでいるのか興味ありませんか?
わたしは、他の構造屋さんがどんな本を読んでいるのか、すごく興味があります。
まだまだ構造屋としては勉強不足ですが、わたしの本棚から「これはいいよ!」とおすすめできる本を紹介します。

■構造屋の本棚 木造■

紹介している本:「住宅と木材」機関誌



木造の構造屋さんは、みなさんご存知の日本住宅・木材技術センターから出ている機関誌です。

わたしは、年間購読6050円で申し込んでいます。

毎月(たまに2か月に1回の時あり)、厚さ3㎜程度の冊子が届きます。年間購読すると送料が無料でお得です。

内容は、木造の構造屋さんに役立つ技術的知見、セミナー情報、木造をとりまく情勢、などなど、グレー本じゃ物足りないという方、マニアックな方には、ぴったりです。

個人的には、この機関誌で連載している「金物通信」が好きです。木造住宅用の接合金物について書かれているのですが、なんと今月で連載56回目になってます。56回も、語ることがあるって、なにげにすごい。

ご興味のある方は、下のURLから、どうぞ。

https://www.howtec.or.jp/publics/index/293/

では、また。


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2024/03/17

構造屋の本棚 鉄骨造 「マンガでわかる溶接作業」

構造屋の本棚 鉄骨造


構造屋の本棚には、どんな本が並んでいるのか?
構造屋が、どんな本で学んでいるのか?
構造屋の新米さんも、古参の構造屋さんも、他の構造屋さんが、どんな本を読んでいるのか興味ありませんか?
わたしは、他の構造屋さんがどんな本を読んでいるのか、すごく興味があります。
まだまだ構造屋としては勉強不足ですが、わたしの本棚から「これはいいよ!」とおすすめできる本を紹介します。

■構造屋の本棚 鉄骨造■

紹介している本:「マンガでわかる溶接作業」2018年出版





この本、ふらっと入ったブックオフで見つけました。
マンガ本です。溶接初心者向けに書かれてます。要所、要所で、専門的な溶接の解説もついてます。舞台は鉄工所です。鉄工所で普通の女子大生が、溶接を一から教えてもらい、溶接資格を取得するまでのストーリーが、コミカルに描かれています。



鉄骨造って、なんでか分からないけど、工業製品ってイメージがあります。

事実、鉄骨の部材は工場で作られているので工業製品です。

でも、鉄骨部材をそのまま、現場に搬入して、建物が建つわけではないです。

鉄骨部材は、鉄工所に持ち込まれ、人の手で、切断、孔あけ、溶接などの加工をします。

加工を加えた部材が、現場に搬入され、鳶職人の手で組み立てられ、建物が建つわけです。

鉄骨の溶接の品質に関しては、溶接工の技術習熟度に左右されている部分が大きいです。

ですが、たとえ熟練の溶接工さんであっても、溶接に関して無知な設計屋さんに当たってしまえば、宝の持ち腐れ、そのパフォーマンスは落ちてしまうでしょう。

そう考えると、鉄骨造って、無機質な工業製品どころか、どろどろに人間臭いです。


構造屋としては、常に「職人さん」の存在を頭に入れて設計したほうが、結果的に良い建物を実現できるのでは、ないのかなぁ、なんて思います。


「マンガでわかる溶接作業」は、溶接初心者向けに書かれていますが、わたしみたいに溶接が知りたいなと、思っている構造屋さんにも、とっても参考になる本です。



「構造屋の本棚 鉄骨造」のバックナンバーも見てね。


 

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2024/03/16

美しい図面

 美しい図面


「図面」を描いていて、納まりがよく分からない、でも時間がない。

「もう、しんどいし、時間がないし、こんな感じでいいしょっ」なんて、逃げてしまいそうになることが、よくあります。

でも、「あの時」の事が、頭をよぎって、逃げてはダメだ、頑張ろうという気持ちにさせてくれます。


あの時」の事とは、むかし、耐震診断の業務をしていた時のことです。

耐震診断の対象になるのは、旧耐震の建築物になります。

旧耐震の時代は、まだCADが普及しておらず、図面と言えば、すべて手描きです。

わたしが勤めていた事務所が、耐震診断の業務をメインにしていたおかげで、たくさんの手描きの図面を見る機会に恵まれました。

その中でも、その案件の手描き図面は、印象的で、

「うっ、美しい、、、」と、唸るほどの図面でした。


線は、一定の筆圧で引かれ、太線・中線・細線、濃淡も、きっちり描きわけられている。

文字は、きっちりと製図文字で書かれ、分かり易く見やすい位置に配置されている。

しかも、細部の納まりまで、きっちり図面に起こしてあったので、他の案件に比べて図面枚数もダントツで多かったと記憶しています。

具体的な枚数は、覚えていないなのですが、トレーシングペーパー原図なのに、厚さが1.5㎝くらいは、ありました。

図面に対する厳格さ、納まりに関する知識量、図面を書いた人の、気迫を感じます。


しかし、図面の醜さ・美しさ、図面枚数の少ない・多いで、この案件を覚えていたわけではありません。


耐震診断の業務では、現地調査で、実際の建物と図面の整合性をチェックします。

この案件をよく覚えていたのは、現地調査で、ほぼ図面と建物が整合していた事実に驚きを覚えたので、今でも記憶に残っているのです。


他の案件では、図面と建物が整合していない、不整合であることが、ほんとに多かったと覚えています。仕事に慣れていくうちに、不整合であることが、当たり前にさえ感じるようになっていました。


でも、この「美しい図面」の案件では、見事に設計図どおりに、建物が建てられていました。


耐震診断の業務をやっていくうちに、お粗末な図面ほど、図面どおりに建物が建てられことがなく、逆に設計者の気迫が感じられるほど描き込まれた図面になればなるほど、図面どおりの建物になる傾向があると、気づきました。


この傾向は、施工側に立ってみれば、しごく簡単なことだと思います。

設計者が、時間がない、納まりが分からない、など言って「逃げた」図面を描けば、その気持ちが「図面」を通して、相手に伝わる。

施工側に設計者の「逃げ」が伝わっているから、施工側は、それなりの施工をしているだけのことなのだと思います。

逆に、あの「美しい図面」の建物が、設計図どおりであったのは、施工者が、「図面」から設計者の「こうして欲しい!」という気迫を感じとっただけのことだと思います。



仕事をしていて「図面」を描く時に、納まりがよく分からない、時間がない。

そんなことは、日常茶飯事ですが、「あの時の美しい図面」の事が、頭をよぎるので、手を抜くなんてことが、できません。

もしも、自分の設計意図が伝わらない粗末な図面しか描けず、そのせいで、適当に施工されるはめになったとしても、それに対して文句は言えないのですから、、、。


構造屋さんが「図面」にこだわりを持っても、意匠屋さんや審査機関は意に介さないでしょう。こだわって手が遅くなるよりも、速く納品する方が、喜ばれることでしょう。

ぶっちゃけ、こだわって描いても、適当に描いても、もらえるお金は同じです。

楽して、お金をもらえるなら、どんなにいいでしょう。

だけれども、「細部に神は宿る」を信じて、今日も今日とて頑張ってます、末端の構造屋なりにね!


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2024/03/15

土台の継手 ぶっちゃけシリーズvol.3

『ぶっちゃけ、みんな、どうしてる?』vol.3


   木造 土台の継手   

※どこ探しても参考例が無い、聞く相手もいない、自分の頭で考えてひねり出す、それが日常茶飯事、構造屋の仕事です。そんなこんなで、自己流でやってるけど、ほんとは合っているのか不安だ、、、。
『ぶっちゃけ、みんな、どうしてる?』シリーズでは、みんなが自己流でやってそうなトピックを取り上げてます。稚拙を暴露する恥を忍んで、私の自己流を載せてます。
ぜひ、みなさんも自己流を、コメントにお寄せ下さい。



■土台の継手■

土台の継手って、「オス伸び」、「メス伸び」、どっちにしてますか?

わたしは、「メス伸び」にしてます。


オス伸び」は、片側だけにアンカーボルトを設置すればいいので、本数を減らせる。
本数が少ないほど、お金もかからないし、アンカーボルトの設置作業も、土台の孔あけ作業も、その分、楽できる。工務店さんにとっては、やさしい



メス伸び」は、両側にアンカーボルトを設置しなくちゃならないから、工務店さんには、やさしくない。だけど、基礎から土台が転ぶ心配がない。


それに、「オス伸び」だと、孔やホゾ加工が集中してしまうので、なんだか割裂しそうで、嫌な感じがする。



柱からの引抜を考えたら、「オス伸び」の方が、良いような、、気がするけど、、よく、わからん。


構造屋の皆さん、「オス伸び」、「メス伸び」、どっちにしてます?




他の『ぶっちゃけ、みんな、どうしている』シリーズも、見てね。

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2024/03/14

構造屋の本棚 鉄骨造 「建築溶接問答」

構造屋の本棚 鉄骨造

わたしは構造屋です。
構造屋の本棚には、どんな本が並んでいるのか?
構造屋が、どんな本で学んでいるのか?
構造屋の新米さんも、古参の構造屋さんも、他の構造屋さんが、どんな本を読んでいるのか興味ありませんか?
わたしは、他の構造屋さんがどんな本を読んでいるのか、すごく興味があります。
まだまだ構造屋としては勉強不足ですが、わたしの本棚から「これはいいよ!」とおすすめできる本を紹介します。

■構造屋の本棚 鉄骨造■

紹介している本:「建築溶接問答」2001年出版

※残念なことに、現在中古でしか、手に入らないみたいです。定価3400円+税が、アマゾンで中古価格1万円もしてる、、。メルカリとかで探してみれば、安く買えるかもしれません。買うなら、お早めにどうぞ。



「鉄骨って、おもしろい」と思わせてくれた本の中の1冊が、この本です。

おもしろだけじゃなく、鉄骨造の構造設計に必要な知識が身に付きます。

構造設計の実務で、使うわけではなく、あくまで鉄骨造の構造設計で身に付けておくべき事柄が書いてあるので、ご注意!

もし鉄骨造の構造設計やるなら、「絶対に読んでおいた方が、いい!」と、断言できます。


わたしの個人的な意見ですが、鉄骨造の構造設計は「溶接の設計」と言っても過言ではないです。

溶接を知らなきゃ、鉄骨造の構造設計はできない!

溶接について書かれている本を探すと、溶接技術者に向けた専門的ばかりです。ちょっと、構造屋が読むには、とっつきにくい。かと言って、構造専門書に書かれている溶接の話は、簡素すぎる。帯に短し、たすきに長し、です。

その中で、この「建築溶接問答」の本は、構造屋が溶接の知識を学ぶのに、ちょうどいいんです。


全文、構造屋さんと溶接屋さんの対話形式になっていて、とても読みやすいです。
本に出てくる構造屋さんは、RC造の構造屋なので鉄骨造には疎い。
そんな構造屋さんの疑問に対して、博識な溶接屋さんが、分かり易く解説しています。

また、ちょいちょい、この溶接屋さんがマニアックな話までするので、そういうところが、構造屋さんの心をくすぐります。


全357ページと長いですが、章単位で読めるので、目次を見て興味のある部分だけ読んでも大丈夫です。下に目次をメモしておきます。

  1. 溶接の方法
  2. 溶接変形
  3. 強度と破壊
  4. 欠陥と検査
  5. 溶接管理
  6. 溶接応用
では、また。

「構造屋の本棚 鉄骨造」のバックナンバーも見てね。


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2024/03/13

筋交いの納まり ぶっちゃけシリーズvol.2

 『ぶっちゃけ、みんな、どうしてる?』vol.2


   木造 筋交いの納まり   

※どこ探しても参考例が無い、聞く相手もいない、自分の頭で考えてひねり出す、それが日常茶飯事、構造屋の仕事です。
そんなこんなで、自己流でやってるけど、ほんとは合っているのか不安だ、、、。
『ぶっちゃけ、みんな、どうしてる?』シリーズでは、みんなが自己流でやってそうなトピックを取り上げてます。
稚拙を暴露する恥を忍んで、私の自己流を載せてます。
ぜひ、みなさんも自己流を、コメントにお寄せ下さい。



■筋交いの納まり■



直交する梁成が大きいと左図のように、筋交の納まりがよろしくない。 

何がよろしくないかというと、筋交金物が柱まで届かない。


なので、わたしは、いつも、右図のように、筋交上部の梁の成をサイズUPしている。

そこでいつも悩むのは、どのくらいサイズUPするかどうかだ。

ちゃんと絵をかいて、納まりをチェックすれば、梁をこのくらサイズUPすれば、筋交金物が柱まで届く、と、わかるのだが、、、

階高次第で、筋交の斜度が変わるので、毎回、毎回、それをやっていては、いつまで経っても仕事が終わらない。

なので、経済的じゃないなぁ、と思いつつ、直交する梁と同じ成にすることにしている。

他の構造屋さんは、どうしてるんだろう、、?



他の『ぶっちゃけ、みんな、どうしている』シリーズも、見てね。

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2024/03/12

重力加速度

 私の好きなTV番組に、NHKで放送されてる高校講座「物理基礎」というのがあります。


4人家族の物理(ものり)さん家のホームドラマ仕立になってます。

実験オタクのお父さんが、家族の素朴な疑問に、家庭にある道具を使って物理実験で証明していく過程が見どころです。


ちなみに、お母さん役を斉藤由貴がやってて、天然ボケ役がハマり過ぎてて、ほんわかします。


講座は全40回ありますが、第6回目のテーマは重力加速度です。


構造屋だったら、電卓叩く指が覚えてる数字9.80665。


ですが、ものり家のお父さんがおっしゃるに、地球上の地域によっては、この加速度の数値が違うそうです。


理由は、地球の自転による遠心力なのだそうです。

興味のある人は、視聴して見て下さい。↓

https://www2.nhk.or.jp/kokokoza/watch/?das_id=D0022150026_00000


この回を見たあと、スマホに重力加速度を測れるアプリ入れました。

私のいる場所の重力加速度は、9.83~9.86でした。


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2024/03/11

鉄骨造ルート1-1 梁継手の保有耐力接合

あるとき、申請機関の質疑で、梁継手の保有耐力接合の検討がなされていないと指摘を受けました。


しかし、鉄骨造ルート1-1なので、梁継手の保有耐力接合は不要のはず…

「おかしいなぁ、いつのまにかルート1-1でも、梁継手の保有耐力接合を担保するように変わったのかな?」

そう思い、黄色本を読み返したり、ネットで検索してみたりしたが、どこにもそんなことは書いてない。


質疑なので、検討して追加資料を添付するなり、何かしら回答をしなくちゃならない。

回答するとしたら、下の内、どちらかになる。

・保有耐力接合の検討は不要なので、検討はしない。

・非保有耐力接合である。

(使用していた梁部材H-200x100の継手は保有耐力接合にはならないので)


でも、どちらを回答したとしても、申請機関の担当者は、納得しないだろう。

こんな些細なことで、何度も質疑回答のやり取りは、相手にも迷惑だし、私もやりたくない。

どうしたものかと、悩んだ末、申請機関の担当者に電話で確認してみることにした。


私  「保有耐力接合の検討が必要なのでしょうか?」

担当者「はい」

私  「保有耐力接合には、なっていなのですが、、、」

担当者「えっ、、、」


担当者の方が、しばらく沈黙していたので、


私  「継手の検定比は、とても小さいですし、かなり余裕があるので保有耐力接合を担保しなくても大丈夫だと、私は思いますが」

担当者「では、その旨を記載しておいてください」


心の中で「そっすか。。。いいのかな。。。」と思いつつ電話を切りました。


他の質疑も終わらせて、最終チェックで回答書を読み返してみて、改めて見ると変な質疑と回答だなと思いました。


なぜなら、もし本当に保有耐力接合が必要なら、非保有耐力接合になることは許されないことのはずなのに、設計者の判断でそこをOK~みたいにしているって絶対ダメだろうし、申請機関がそれを承諾するのも、おかしな話です。

完全に法令違反してるわけですから。


いろいろ考えず、

「計算ルート1-1で、梁継手の保有耐力接合は検討不要なので、検討はしておりません」

と回答すれば良かったのかも、回答書を添付したメールの送信ボタンを押しながら、ちょっと後悔しました。


ところで、なんで計算ルート1-1だけ、梁継手の保有耐力接合の担保が免除されてるんでしょうね?

どなたか、根拠をご存知ありませんか?


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2024/03/10

製材7m飛ばし 木造の構造設計

 木造住宅の意匠屋さんとの打合せ後、世間話などの雑談をしていて、不意に

「どうして、7m、無いのかな~」

と、意匠屋さんが残念そうな顔をして言いました。


7m材も、一般流通材では無いというだけで、物がないわけではないですよ。

と言いかけたが、

「どうしてでしょうね、、、」

と、分からないふりをして、その雑談を終わらせた。


その日の打合せで、製材7m飛ばしを回避する代替案を提示した。

意匠上、こだわりの無い部分だったようで、特に抵抗されることは無く、意匠屋さんの了承を得られた。

その際に、製材7m飛ばしを回避したい一心で、私が製材7m材は流通して無いと言ったことに対して、7m材があれば簡単なのに、なんで無いんだろう~くらいの悪気のない軽い発言だったと思われる。



実際のところ、製材でも7m材は用意できる。

問題は、それをどこから探してくるかということ事、

乾燥などの準備期間、搬入計画や、金額などの面倒なことを、誰かが責任を持って処理しなければならないという事。

それをクリアするだけの労力に値するほど、意匠上のこだわりがあるのならば、やりましょうと、こちらもなるのですが、、、。


話は変わりますが、私は山登りが好きです。

暇をぬって、近場の里山にちょくちょく出かけるのですが、その山では杉の大木が見られます。


足を留めて、しばらく大木に見入っていると、この場所で百年以上の年月をかけて、大きくなってきたんだなぁと思うと、ちょっと胸が熱くなります。



今度、意匠屋さんを山に誘ってみようかしら?

その際に、7m材を用意するということは、この大木を伐採するということですよ。と、教えてあげたい。

意匠屋さんは、どんな顔をするだろう?


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2024/03/09

木やるなら、そこんとこヨロシク!

木やるなら、そこんとこヨロシク! vol.0

『木やるなら、そこんとこヨロシク!』シリーズは、
RC造や、S造の構造屋さんで、木造にも手を付けたいと考えている方に向けて書いてます。

わたし自身、RC・S造から木造に手を付けた口です。
木造の計算の仕方も、RC・Sと様子が違うので、とまどうことが多いのですが、
その辺は、大丈夫です。なんとかなります。
それよりも、木造の業界の体質の方に悩まされることが多いです。

木の業界では、RC・Sの常識は、通用しません、びっくり仰天が満載です。

そんな、びっくり仰天させられている木の業界での、わたしの体験談を書いているのが
『木やるなら、そこんとこヨロシク!』シリーズになります。


現状の木造の構造の分野では、まだまだ、構造屋さんが少なく、構造の重要性に、誤解があったり、軽視されたりしています。
RC・Sからの構造屋さんの流入は、木造業界に構造の重要性を浸透させていくのに、とてもいい影響を与えるのではないかと思います。

稚拙なわたしごときが、何をいうか!って感じですが、
これから、RC・Sから木をやろうとしている構造屋さんのお役にたてる記事が書けたらいいなと思ってます。

次回は、木造業界の象限について書く予定です。
RC・S、やってたときは象限なんかに、悩まされることはなかったなのですが、、、。
木造業界では、象限が、えらいことになってます。

では、また。


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2024/03/08

浴室の重量 ぶっちゃけシリーズ vol.1

『ぶっちゃけ、みんな、どうしてる?』vol.1

   浴室の重量   

※どこ探しても参考例が無い、聞く相手もいない、自分の頭で考えてひねり出す、それが日常茶飯事、構造屋の仕事です。
そんなこんなで、自己流でやってるけど、ほんとは合っているのか不安だ、、、。
『ぶっちゃけ、みんな、どうしてる?』シリーズでは、みんなが自己流でやってそうなトピックを取り上げてます。
稚拙を暴露する恥を忍んで、私の自己流を載せてます。
ぜひ、みなさんも自己流を、コメントにお寄せ下さい。



「浴室の重量」

前置します。
RCやSの構造屋さんにとっては、「浴室の重量」は、気にする必要がないことですが、
木造の、特に戸建て住宅の場合、RCやSに比べて、建物重量が小さいので、「浴室の重量」もしっかり、拾ったりしてます。
、、と思います。もしかして、私だけかも知れませんが。



それでは、本題です。

みなさんは、「浴室の重量」はどのようにして、算出してますか?

私の場合は、以下のようにして算出してます。

STEP1.ユニットバスと水の合計を出す →2400N+2600N=5000N
 
 ・ユニットバス 2400N(サイズ1616)
 ・浴槽満水時  2600N(サイズ1616)
 
ユニットバスのカタログ(TOTO 「サザナ」カタログp.166より)

STEP2.単位重量を算出する     →5000N÷1.82m÷1.82m=1509N→1510N/㎡
※ユニットバスサイズ1616より、1坪サイズ1.82x1.82

よって、「浴室の重量」は 5000 N、単位荷重は 1510 N/㎡ を採用する。
あとは、ユニットバスが床置き型か、吊り型かによって、下地材など有無を考慮する。
2階設置であれば、天井の荷重も追加になる。
 
以上になります!

みなさんは、「浴室の重量」、どうされてますか?
ぜひ、下のコメントで意見をお聞かせ下さい!
お待ちしてます😊

⚠ここに載ってる数値を使おうとしているあなた!ネットで見た知識で、構造計算するのは、危険ですよ!ちゃんと、構造設計事務所に依頼しましょう〜。


他の『ぶっちゃけ、みんな、どうしている』シリーズも、見てね。

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2024/03/07

構造設計 料金と工期の設定

仕事の工期は、ある程度、余裕を持たせて設定している。

設計変更やら、質疑回答で時間を要したりで、なんだかんだと、実稼働以外で日数がかかることが多いからだ。


何度か取引のあった意匠屋さんから、電話が、かかってきた。

意匠屋さん   「これこれ、こういう内容なんだけど、どれくらい、かかるかな?」

私     「2週間かかります」

意匠屋さん   「急ぎなんだよね、10日で、できない?」


10日の工期だったら、できなくはない。

でも設計変更なんか出たら、10日だと厳しい、徹夜作業がでるかもしれない、、、。

そう算段をつけて、


私                   「短期納期だと割増しになるので、料金が通常の1.3倍になります」

意匠屋さん    「う~ん、なんとか、割増しをなしに、できない?」

私                   「絶対に、途中で変更が出ないという約束を頂けるのなら、割増なしで受けます」

意匠屋さん    「じゃ、なるべく早く、でき次第の納品ってことで、割増し無しにしてくれない?」

私                   「2週間の工期を頂けるなら、通常料金でお受けします」

意匠屋さん    「ふ~ん、だったらいいや」

ガチャンと、電話を切られた。


それから2~3日して、割増料金でいいから10日でやってくれと、連絡がきた。

その後、先方都合の設計変更などで作業中断などが重なり、結局10日では終わらず、納品まで2週間かかった。もちろん、設計料金の割増し分は、ちゃんと頂いた。

意匠屋さんにしてみれば、納期は遅延する、構造設計料金は割増になるで、ふんだりけったりだったと思う。

その一件以来、その意匠屋さんから連絡が来ることはない。

残念なことに、取引先が1件無くなってしまったようだ。

きっと、私の対応が、まずかったのだろう。

でも、正直、その意匠屋さんが苦手だったので、縁が切れて、ほっとしている。


つい先日のことだが、一度だけ取引のある工務店さんから電話をもらった。

電話の内容は、

部材一箇所を検討するだけの依頼だ。

「いくらぐらい、かかりますか?」

と聞かれた。

2時間あれば終わるし、ここで”ただ”にしておけば、心象も良くなって、次回の仕事につながるかも、と思って

「べつに、いいですよ、お金は要りません」

と伝える。

「そんなわけには、いきません、見積もりを下さい」

と、きっぱりとした調子で言われたので、

「分かりました、すぐに、見積もりをメールします」

と答えて、電話を切った。


見積書を添付したメールを送信した。

工務店さんから、すぐに返信が来た。

「お安くして頂いて、ありがとうございます。でも、お客さんには、もう少し多めに設計料を伝えておきますね」

とのことだった。


この業界に入って18年になる。

経験値なのか、設計工期について、大体は見込みどおりのことが多い。

でも、適正な設定料金がいくらなのか、いまだに、よく分からない。


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2024/03/06

構造の本は、本当に難しいのか?

構造の本は、本当に難しいのか?

構造設計事務所に入社して、まだ日が浅かったある日のこと。

打合せの帰り、意匠屋さん、構造部長、私の3人で、駅のホームで電車を待っていた時の会話です。

意匠屋さん 「どう、仕事は慣れた?」

私     「まぁ、、、」

意匠屋さん 「構造って、計算ばっかりでしょ?僕なんか、そっちの才能ないから、無理だな~」

私     「計算の才能より、読解力の方が必要な気がします」

構造部長  「そうなんだよ、よくわかってきたじゃないか!」

それまで、聞いているのか聞いてないのか、ただ黙っていた構造部長が、急に嬉しそうに会話に入ってきた。


月日が経つのは早いもので、構造設計の世界に入って、18年経つ。

18年も、この仕事をしているのに、構造の書籍を理解するのに、四苦八苦している。

よくよく噛み砕いて読み込めば、そんなに難しいことは書いてないと理解できるが、初見では、とてつもなく難解で高度なことが書いてあるような錯覚を覚える。

わざと、難しく書いて理解させないような、意地悪をしているのか?と邪知したくなる。

それとも、私の頭が悪いのか?

いやいや、構造部長も、「読解力」の言葉にあれほど反応していた。

構造屋をやっていく上で必要なことは、頭のいい悪いではなく、「読解力」なのかもしれない。

構造部長も、30年以上の経験があったのに、同じように、難解な言い回しの構造の書籍に苦しまされていたんだろうなぁ。

自分ひとりが、苦しんでるわけじゃないと思うと、ちょっと気が楽になります。



構造の書籍を書いている先生方に一言だけ、お願いしたいです。

簡単なことを難しく書く癖を直して欲しいです。困ってます。ほんとに、、、みんなが困ってるんです。


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2024/03/05

外部鉄骨階段の構造計算

外部鉄骨階段の構造計算

「白鳥の水かき」という、ことわざがあります。

白鳥は、優雅に浮かんでいるように見えて、水面下では必死に足をバタバタさせている。

つまり、他人からは簡単に見えていても、実は地道な努力をしている。

という、意味だそうです。


外部鉄骨階段の案件での、審査機関の質疑の話です。


「電算だと思いますが、○○の数値の根拠をお示しください」

審査機関の担当者としては、全体の重量の算出根拠として、荷重算出の電算アウトプットをちゃんと添付せよと言ったつもりだと思われる。


私は、

「手計算で算出しております。追加資料を添付します」

と、回答し、すごく見ずらいであろう手計算の荷重拾いの資料を付けた。


私は、外部鉄骨階段は、ほぼ手計算をしている。

正直、すごく、めんどくさい。

できるなら、電算でサクッとやりたい。

だけれども、剛床仮定が成り立たない4本柱のラーメンなので、電算は使えない。

仕方なく、準備計算の荷重拾いから、地道に、手計算している。


審査機関の担当者は、そこをはじめから、電算だと決めつけていた。

その質疑の、文言を読んだとき、「白鳥の水かき」のことわざを思い出した。


ところで、実際の白鳥は、水かきしてないそうです。

ただ、優雅に浮いているだけ、だそうです。


私も、水かきしなくても、す~とできるように、なれたらいいなぁ。


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