ガス圧接継手の抜取検査 思うトコロ...

鉄筋のガス圧接継手の抜取検査について、個人的に思うトコロがあります。


ガス圧接継手って、なんじゃらほいって人は、日本鉄筋継手協会のサイトを見てみてくださいね。

https://jrji.jp/page-104/


鉄筋径D19以上の時、鉄筋継手は、ガス圧接継手にすることが多いかと思います。

現場では、ガス圧接継手の検査を、外観検査抜取検査を監理者立会いのもと行うことになります。

外観検査は、圧接部のふくらみやら、ずれやら、細かい規定をチェックします。

抜取検査は、超音波探傷試験と引張試験の2種類があります。


わたしは、このガス圧接継手の抜取検査の「引張試験」について、どうなんだろうなぁって思っていたことがあったので、今回は、その話をします。


引張試験というは、実際の現場でガス圧接で繋げられた鉄筋をチョン切って、切り取った試験体を試験機関に配送して、引張試験をします。引張試験の結果が、試験機関から施工者に送られて、監理者の構造屋にも報告が来ます。

引張試験がどういうものか説明されても、はぁ、そうですか。。って感じでしょうか、、。

ですが、引張試験の結果がでるまで、コンクリート打設は待たなきゃいけないし、引張試験がNGだったら、最悪、全数のガス圧接箇所を「やりなおせ」ってことにもなりかねません。施工者側も構造屋も、引張試験の結果が出るまでは、ちょっとドキドキします。心臓に悪いです。

まぁ、こんなことは業務なので遂行するのみの話です。わたしが気になっていることは、現場で鉄筋がチョン切られたあとのことです。現場で、チョン切られたあと、そのチョン切られた区間の鉄筋は、どうするのかというと、またガス圧接で繋ぐしかないですよね?じゃ、引張試験のためにチョン切った区間を繋げるためのガス圧接の品質というのは、どうやって確認すればいいのでしょう。。。引張試験が合格でも、その後の繋げるためのガス圧接の品質が実はNGだったら、、、。

なんか、建物の品質を確認するために引張試験を行ったことが、かえって建物の品質の劣化に繋がってしまうことになりかねないような気がします。

前々から、引張試験の抜取検査については、このように個人的には「どうなんだろうなぁ」と思っていました。仕様書や、監理規準にさえ則っていれば、確かに業務的には義務を果たしているかも知れませんが、そもそも論としては、品質を担保するのが、構造屋の本来のお仕事なはずですしね。かと言っても、じゃどうすれば良いの?ってことに対しての答えがでません。


話は変わりますが、最近、日本建築学会の「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説」を、拾い読みしていて、下記のような文言が目に入りました。

 抜取検査は、外観検査の結果が合格とされた圧接部を対象として、非破壊検査である超音波探傷試験または破壊検査である引張試験による検査により行う.
 超音波探傷試験では、~(中略)~、鉄筋継手部の検査において、工程や手順などの問題で仕様書どおりの検査が難しい場合があることが鉄筋継手協会から指摘されており、鉄筋継手の検査を適切かつ円滑に実施し、鉄筋継手部の品質を確保するために、①検査工程の確保と、②探傷に必要な走査範囲の確保について配慮することが必要である.
 引張試験による検査は、圧接部の健全性を確認すると同時に鉄筋材料の強度を確認できる長所があるが、実際の構造物で使用される圧接部を検査しているわけではないこと、検査ロットに対する抜取り数が低く品質の悪いレベルのロットを合格させる可能性があること、切り取った箇所の再圧接部の品質が劣るおそれがあること、試験結果をえるのに時間を要しその結果を施工管理に迅速にフィードバックできないので工事工程への支障が大きいことなのどの短所があることや、超音波探傷試験の普及により、採用されることが少なくなってきている。

あー、ちゃんと、ここに、わたしの感じていた疑問の答えが出てました。引張試験はやめて、超音波探傷試験にしろって事ですね~。なるほど、なるほど。
ということは、ガス圧接継手の超音波探傷試験について、勉強しなくちゃならんってことですね。

構造屋は、いつも何かしら勉強してなくちゃいけないところが、うっとしいところですが、面白いところでもあります。


余談ですが、RCやら鉄骨は、こんな風に、施工の問題点のフィードバックがちゃんと設計屋である構造屋の技術書にちゃんとお知らせしてくれてますが、、木造はそこんとこが甘いです。だから、D19以上の鉄筋径を使うのを躊躇してしまいます。木造を建てる工務店さんに「ガス圧接継手にして、ちゃんと超音波探傷試験してね」なんて言ったら、びっくりされちゃいますから、、、。

戸建て住宅は、置いてきぼりされてしまっていますよね。残念です。

それでは、また。

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