読む公式 断面係数(3)

今回の「読む公式 断面係数(3)」は、「力と変形」について考えてみましょう!



力と変形


前回の「読む公式 断面係数(2)」では、「力」について考えてみました。

  • 「力」を加えれば、物体は必ず「変形」する。
  • 「どのくらいの力」なのかは、「変形」から知ることができる。

前回の内容を、復習してみましょう!

「力」を加えれば、物体は必ず「変形」する

ある棒があります。

ある棒に、「おもり」をぶら下げます。


ある棒は、変形(伸び)します。


「おもり」をぶら下げたら、棒が「伸びた」
非常に、シンプルな話ですよね?
「力」を加えれば、必ず物体は「変形」する、というのも、シンプルな話です。



では、これの逆を考えてみて下さい。
「変形」から「力」を知ることは、できそうでしょうか?

先ほど、「おもり」をぶら下げて伸びた棒の「伸びた時の長さ」をメモしておいたとしましょう。


別の棒を用意して、「おもり」をぶら下げて、棒が伸びた時の長さが、
あなたの手元にあるメモの「伸びた時の長さ」と同じ長さだった時、「おもり」がどのくらいの重さなのか、推測できますよね?

そうです、前に実験した同じ「おもり」と同じ重さで間違いありません。


「伸びた時の長さ」から、どのくらいの重さの「おもり」なのかが分かります。

これを言い換えてみましょう。

「変形」を知れば、「どのくらいの力」なのかが分かります。

つまり、

「どのくらいの力」なのかは、「変形」から知ることができるようになるということです。




変形の最終形は「壊れる」。(伸びて、伸びて、最終的にちぎれる)


ある棒があります。


ある棒に「おもり」をぶら下げます。


棒は伸びます。

もう1つ「おもり」を増やします。

棒はもっと伸びます。


もう1つ「おもり」を増やします。

棒はもっと、もっと伸びます。



いっぱい「おもり」を増やします。

棒は、伸びることができる限界を超えた時点で、ちぎれます。


「おもり(力)」が増えていくと、棒は伸びて、伸びて、最終的には、ちぎれてしまいます。

「変形」の最終形は、「壊れる」です。


どのくらいの力で壊れるのかを、どうやったら知ることができるのか?

この「読む公式 断面係数」で、何度も言ってきました。

断面係数は、ただの道具でしかなくて、

重要なことは「どのくらいの力で壊れるのかを、どうやったら知ることができるのか?」です。


・「どのくらいの力」なのかは、「変形」から知ることができます。

・「変形」の最終形は、「壊れる」になります。


「どのくらいの力で壊れるのかを、どうやったら知ることができるのか?」についての、が、これで出るような気がしませんか?

残念! 実は、解はでません!

なぜなら、棒がちぎれるかどうかは、棒の材質に左右されるからです!

棒が、ゴムだったら?
棒が、石だったら?
棒が、プラスチックだったら?

ゴム、石、プラスチックが、壊れる時の力は、当然、違いますよね?

ゴム、石、プラスチックの変形量(伸びた時の長さ)が同じだった時に、「どのくらいの力」なのかは、材質に左右されますよね?


結局、「どのくらいの力で壊れるのか?」を知ることはできないのでしょうか?

大丈夫です!

知ることはできますよ!

棒がちぎれるかどうかは、棒の材質に左右されます。

ゴム、石、プラスチック、、、。

物体の材質は、無数にあります。

それぞれの「壊れる」時の力があるので、「壊れる」時の力も無数に存在することになります。

ですが、建築に使われる材質は、無数ではありません。

建築で使う材質は3つかありません。

建築で使われる材料は、「コンクリート」と「鉄」と「木」しかありません。


「コンクリート」と「鉄」と「木」だけです。


無数にある材質のことなんか、忘れてしまって、

この3つの建築材料の「壊れる」時の力さえ、押さえておけば、良いわけですよね?

・「コンクリート」の棒が、変形して最終形態の「壊れる」時の力

・「鉄 」の棒が、変形して最終形態の「壊れる」時の力

・「木」の棒が、変形して最終形態の「壊れる」時の力



3つの材質の「壊れる」時の力が「どのくらいの力」なのかを知れば、

「どのくらいの力で壊れるのかを、どうやったら知ることができるのか?」についての、がでます!


建築材料が3つしかなくて良かったです、、。
とりえず、「コンクリート」、「鉄」、「木」の材質さえ、押さえておけば、建築のお仕事ができます。。。


まとめて「最大強度」と呼んでしまおう!

どのくらいの力で壊れるのかを、どうやったら知ることができるのか?
という問題の解として、

「コンクリート」、「鉄」、「木」、それぞれの「壊れる」時の力を知れば良いのですが、困ったことに、3つの材料の「壊れる」時の力は、それぞれ違います。

断面係数は、「コンクリート」にも「鉄」にも「木」にも、共通して使いたい道具です。
なのに、それぞれの「壊れる」時の力が違うと、共通して使えそうにありません。

多少、強引ですが、そういう時は、3つをひっくるめて、「最大強度」と呼んでしまいましょう!

「最大強度」という1つの言葉に、「コンクリート」も「鉄」も「木」も含ませてしまいます。

強引ですよね、いいんでしょうか?
いいんです、構造なんて、こんなもんです。
ちょっと便利に使いたいなぁ、って時に、ご都合主義に、好き勝手にやっちゃうのが構造です。

ちっさいことは、気にしないのが、構造の勉強のコツです。

それでは、また。

次回は、「読む公式 断面係数(4)」です。

コメント

お問合せ

名前

メール *

メッセージ *