木造の耐力壁の剛性 1/150rad

昨日のブログの投稿(rad(ラジアン)は、とっても便利なツール)で、「木造の耐力壁の剛性は1/150radを頭打ちに設定されています。」という風に取り上げました。


グレー本では、筋かい耐力壁や面材耐力壁は、1/150rad(木ずりや土壁は、1/120rad)とみなして良い、ということになっています。


鉄骨造や、RC造は、個々に剛性を算出するのですが、木造は、ちょっと特殊のようです。


なぜ、1/150radとみなして良いのでしょう?


告示による耐力壁は、全て実物大の実験データを基に算出されています。

グレー本に、その実験データの資料が記載されています。


ちょっと、グレー本の実験データを読み解いてみましょう!

グレー本の実験データを簡単に説明すると、

実験で、実際の耐力壁に力を加えていき、下の順で耐力のデータを取ります。

降伏耐力⇒終局耐力⇒最大耐力

耐力壁の変形角が1/150radになるときの耐力壁のデータも取ります。

また、各耐力時の時の変形角のデータも取ります。

実験は、耐力壁の耐力と変形角のデータを取ることが目的です。



さて、実験データより、下の4つの数値を導き出すことができます。

① 降伏耐力

② 終局耐力x0.2√2μ-1

③ 最大耐力x2/3

④ 1/150radの時の耐力


①~➃の数値の内、一番小さい値を、その耐力壁の耐力として採用します。

それが、告示の耐力壁の壁倍率の基になっています。


では、グレー本に載っている耐力壁の実験データから、各耐力壁が①~➃のどの値を採用しているのか、ちょっと確認してみましょう!


構造用合板(大壁)   ⇒降伏耐力

構造用合板(真壁)   ⇒終局耐力x0.2√2μ-1

せっこうボード     ⇒ 降伏耐力

筋かい(15x90)    ⇒1/150radの時の耐力

筋かい圧縮(30x90)   ⇒終局耐力x0.2√2μ-1

筋かい引張(30x90)     ⇒1/150radの時の耐力

筋かい圧縮(45x90)     ⇒終局耐力x0.2√2μ-1

筋かい引張(45x90)     ⇒1/150radの時の耐力


全ての耐力壁は、1/150radの時の耐力、もしくは1/150radの時の耐力より小さい値になります。



木造の耐力壁の剛性が、1/150radを頭打ちに設定されている理由

厳密には、面材耐力壁などは、1/150radの時の耐力ではないが、1/150rad時の耐力よりも小さい値を採用しているので、ざっくりと木造の剛性を1/150radとしている、ということのようです。

グレー本の実験データを眺めていると、終局時の変形角・変形量が、結構大きくて耐力壁の種類にもよりますが、10cm前後まで行ってしまいます。怖いですね、、。

また、実験データには、どうやって壊れたかの破壊状況も写真が載っています。そういった部分も眺めていると、それが頭にこびりついて、後々、実際の設計の時の糧になったりしてます。

なので、わたしは、こういう実験データの資料を見るのが、けっこう好きです。

みなさんも、どうですか?おもしろいですよ、実験データ。

それでは、また。


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