構造屋さんのトリセツ
今日は、意匠屋さんのための、構造屋さんのトリセツの話です。
わたしは構造屋です。
構造屋は、建築士というよりも技術士に近い、いわゆるエンジニアと言ったほうがいい職業です。
エンジニアというと、どんなイメージでしょうか?
生真面目で、融通が利かず、人との会話では空気を読めず直球すぎる発言をしてしまう。
ちょっと、上から目線のいけ好かない奴、という印象。
わたしが思うに、世間一般には、大体こんな風に思われてるんじゃないかなぁと、、。
そんなちょっと困った構造屋さん。(あくまでも、一般的にそう思われているという意味ですよ~)
そんな構造屋さんから見て、意匠屋さんは、どんな風に見えているか、わかりますか?
実は、構造屋さんは構造屋さんで、意匠屋さんが苦手なんです。
なぜ苦手なのか?
口が達者だからです。
脅したり、持ち上げたり、泣き落としやら、、。
意匠屋さんの口八丁手八丁にかかってしまうと、うまく丸めこまれてしまう。
意匠屋さんの人心掌握術のスキルの高さといったら、尊敬物です。
対人スキルという面から言うと、構造屋と意匠屋は雲泥の差があります。
意匠屋さんにとっては、構造屋なんて赤子の手をひねるようなものでしょう。
そんな意匠屋さんが、
「ちょっと、ここの部分がなんでこうなるのか教えてくれない?」
という発言をするとき、構造屋のわたしの頭には警戒警報が鳴ります。
経験上、意匠屋さんがこういう発言をするのは、人心掌握術を発揮し始めていることが多いからです。
経験上、意匠屋さんがこんな風に切り出してきたが最後、いくら説明しても、意匠屋さんの思惑どおりにならなければ、永遠に話し合いを終えることができません。
教えて欲しいんじゃないんです、意匠屋さんの思惑どおりになる方法がないのか、意匠屋さんは可能性を探っているんです。
だけど、大抵は、方法がないんです。
構造屋さんは、すでに検討済みなことが多いです。
可能性を探り終わってます。
その結果が、そうなっているんですが。。。
その一つ、一つを、意匠屋さんに説明しなくちゃならない。
そして、その説明は技術的な部分になります。
ところが、技術的な部分を意匠屋さんは聞いてくれない。
教えてくれない?と建前上はいいますが、教えてもらおうということではなくて、なんでできないのか、話し合おうよ、できるかも知れないんじゃんって。
正直、難しい話は意匠屋さんは興味ないですよね?
だから、その部分で話合うのは、無理があります。
知ろうとしてない人に、どう教えても無駄でしかありません。
なので、意匠屋さんに分ってもらいたいのですが、
技術的な部分を、構造屋さんに質問するのは、余計に問題を難しくさせます。
そんなときには、こういってください。
「ここは、こんな風にしたい、なぜかと言うと、こういう理由があるから」
意匠屋さんが、どうしたいのかを構造屋さんに伝えてください。
エンジニアに意匠屋さん持ち前の人心掌握を発揮すると、いい結果にはなりません。
ド直球で、やりたいことを伝えてください。
わたしたち構造屋は、ド直球が好きです。
まどろこしいやり取りは、省いていただいてください。
多少、きつい言葉でも、構造屋さんは気にしません。
構造屋さんは、パートナーです。
決して、意匠屋さんのしたいことを邪魔する敵でもなく、説得する相手でもありません。
そして、ほんとは、意匠屋さんのオーダーに答えたいと思っています。
その為に、自分の技術を役に立てたいと思っています。
構造屋さんは、不器用でコミュニケーション能力も低いです。
ですが、実は意匠屋さんが人心掌握術で人を動かそうという魂胆に気づいています。
そういった態度は、構造屋さんの己はコミュニケーション能力が低いと自覚している劣等感を刺激してしまいます。
そうすると、嫌になるんです。意匠屋さんとコミュニケーションをとることが。
誰だって、馬鹿にされているって嫌ですよね?
意匠屋さんは、自分の得意なコミュニケーションという部分で問題を解決したい。
構造屋さんは、オーダーを技術で解決したい。
それぞれが、違う土俵にいるわけですので、とても不毛です。
構造屋さんをうまく扱える意匠屋さんは、その部分を分かっていると思います。
「技術的なことは分からない。だけど、ど~してもこういう風にしたい。なぜなら、こういう理由があるから。その理由を分かって欲しい。」
そういうコミュニケーションの取り方をする方が、構造屋さんは頑張るんです。
なぜなら、パートナーとして認めてくれているという技術者冥利に尽きるようなことが、構造屋さんの心を動かすからです。
どうでしょう?
意匠屋さん!
はさみとバカは使いようですよ。
使えないと思ってるその構造屋さんは、使いようによっては、ものすごく強力な味方になって、意匠屋さんを支えてくれる良きパートナーかも知れませんよ。
それでは、また。
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