2024/08/16

露出柱脚の設計 方程式とソルバー

手計算で露出柱脚の設計をしなくちゃならない、そんなこともあります。


小さい規模、ピンで設計したい。


ですが、黄色本にもあるとおり、ピンで設計した場合は、柱頭の3割が柱脚に作用するものとして柱脚の設計をし、安全性を担保しなくちゃなりません。


こんな場合は、露出柱脚の設計を、手計算しなくちゃなりません。


露出柱脚の設計で、アンカーボルトに引張が生じるような応力状態の時は、中心軸Xnを算出する必要があります。


中心軸Xnは、日本建築学会の本なんかに載っている表から拾えます。

表から拾えますが、、、わたしなどは、老眼が進んできているので、慎重に表をにらんで、2度も3度も、確認してます。

それでも、もしかしたら拾い間違えちゃってるかもと、不安になります。


そこで、わたしは、表からではなくて、中心軸Xnを求める3次方程式を解いて算出することにしています。


中心軸Xnの式は、下のとおり

Xn3+3・(e-D/2)・Xn2-(6n・at)/B・(e+D/2-dt’)・(D-dt’-Xn)=0


うぎゃって、なりますよね。

もう見るからに、面倒いぞmaxです。

こういうときは、わたしは、エクセルさんに、ゆだねてしまいます。


エクセルの関数には、方程式を解く機能はありませんので、わたしは、マクロのゴールシークを使って解を求めるようにしています。



ところが、最近、簡単にパパっと方程式を解けるエクエルの機能を見つけました。

さっそく、やってみたので、設定方法をメモっておきます。


※エクセルのデフォルトは、【ソルバー】が入ってません。自分で、エクセルに【ソルバー】の機能を追加する必要があります。なので、エクセルに【ソルバー】を追加する方法から、メモっていきます。

※その次に、実際に、3次方程式を解く作業をメモっていきます。


まずは、エクセルに「ソルバー」の機能を追加


①エクセルの「ファイル」→「オプション」

※「オプション」が見当たらないときは「その他」をクリックすると出てくる

スクショ 「オプション」の位置を示す




②「アドイン」

スクショ 「アドイン」の位置を示す




③管理の「Excelアドイン」を選んで「設定」

スクショ 「設定」の位置を示す



④「ソルバーアドイン」にチェックを入れて「OK」
これで完了です。

スクショ 「ソルバーアドイン」にチェックを入れる



最後に「ソルバー」が追加されたことを確認します
「データ」タブ⇒「ソルバー」があればOK

スクショ 「ソルバー」の位置を示す







「ソルバー」の使い方


使い方はマイクロソフトの公式に載ってますが、

急いでいる時には、そんなのじっくり見てる余裕はないので

ざっくりな使い方をメモ、メモ、メモ!





「ソルバー」をクリック

スクショ 「ソルバー」の位置を示す




下図が「ソルバー」の入力ウィンドウ

スクショ 「ソルバー」の設定画面





下図の囲っている部分が、使う部分です。

スクショ 「ソルバー」に入力する部分




では、使ってみましょう~
と、その前に、【数式を入れたセル】と【変数Xnのセル】を用意しておきます。

※結合したセルを指定するとエラーになるので注意!


スクショ エクセルのセルの設定位置




では、ソルバー使ってみましょう~
下図のように、それぞれのセルを指定します

 

スクショ ソルバー設定のセルの位置



 
次に【目標値】を【指定値】として”0”と入力します

 

スクショ ソルバー設定で目標値の位置


 

【解決】をクリックすれば、完了

スクショ ソルバー設定 解決の位置



下図のように、ちゃんとXnが算出できます
スクショ エクセルでのソルバー成功



※もし、下図のようになるときは、セルの初期設定の表示形式を【数値】に変更してあげれば綺麗な数値に修正できます。

スクショ エクセルの数値がおかしい



きっと、使う頻度は低いかなぁ~と思うのですが、

使う機会が少ないからこそ、使うときに忘れてしまって、急いでいるときなんかは困ってしまいます。

そんな困ったことにならないよう、備忘録としてメモっておきました。


それでは、また。


2024/08/09

データをクラウドに同期すること

突然のパソコンのトラブル。

データのバックアップをしておくのは、大事です。





一週間前に買った、新品のノートパソコン。

新しいPCは、快適だな~と気分良く、お仕事をしていました。

突然、画面に警告がでて、シャットダウンしてしまいました。

その後、起動できなくなり。。。

メーカーのサポートに電話で相談しましたが、治りません。



修理に出すしか、ないようです。

買ってから、1週間、あれこれ設定するのも一苦労だったのに、がっかり感が半端ないです。



そして、なによりも!

あとちょっとで終わりそうだった、仕事のデータが、飛んでしまった!

大ショックです!

あと1時間もあれば、仕事、終わっていたのに!


Googleさんの、ドライブに同期させていた分があったので、半分くらいのデータは無事に復旧できたのですが、残りの半分は、どうしようもありません。



作り直しです。

期限は明日です。

今は、もう夕方の6時です。

(手計算での計算書一式の仕事です。全部、エクセルで作成です。)



気持ちのやさぐれが止まりません。

テレワーク中の主人に、八つ当たりしまくりです。


気に病んでも、どうしようもありません。気持ちを切り替えることにしました。


どうせ、やるしかないなら、一気に終わらせてやる!


やりきりましたよ、ノンストップで全集中。

2日分の作業を6時間で、終わらせました。


ええ、もちろん、徹夜になりましたよ、、、。

久しぶりに、朝の空が、明るく白みがかるのを拝みました。

できたら、もう一生、拝みたくない心境です。




今回、酷い目に会いました。

買ったばかりの新品のパソコンが壊れるなんて、、、はぁ~。

こんなことも、あるんですね、、。



今度からは、作業中のデータは、全部クラウドで同期させておくことにします。

そうすれば、今回みたいなトラブルに会っても、痛くも痒くもないならないでしょうから。


作業中のデータも、クラウドに同期すること

絶対、忘れないぞ!!



それでは、また。

2024/08/03

片持ち2m 鉛直震度の手抜き検討方法

告示で「片持ち2m以上は検討せよ」とあるで、しなくちゃならない。

ちょっと、面倒くさいので、手抜きしたい。

申請機関から文句言われる方法かもしれないけど、手抜き検討方法を考えてみました。



片持ち2mの鉛直震度の検討方法は、以下の2通りある。

方法①は、常時荷重x2< 短期許容応力度

方法②は、常時荷重x1.33 < 長期許容応力度



方法②の1.33倍の理由は、黄色本に解説があるとおり

許容応力度が、短期=長期x1.5 なのが理由。


どういうことかと言うと、

方法①の 常時荷重x2< 短期許容応力度 に (短期=長期x1.5)を代入してみると

常時荷重x2=長期ⅹ1.5 になる、これを展開すると、常時荷重x2÷1.5=長期になる。

1.5は3/2なので、常時荷重x2x2/3=長期荷重 になる。

2x2/3=4/3なので、1.3333になる。

なので方法②は 常時荷重x1.33<長期荷重 になる。


結局、方法は②は、方法①の変形式なので、まったく同じである。


でも、方法①より、方法②を使ったほうが、便利。

計算書を作るときに、長期の検討は、2m以上とか関係なく、必ずやりますよね?

2m未満なら、長期の検討だけで終了ですが、2m以上は、短期の鉛直震度の検討もやらなければならない。

短期の鉛直震度の検討って、具体的には、なにをするのかというと、方法②を採用する場合は、長期の常時荷重を1.33倍割増した設計応力が、長期許容応力度以下であることを確認します。

わざわざ、割増しして検討するのは、面倒です。


そこで、です。割増し検討はやらずに普通に長期の検討を行って、以下のような文言で逃げておいても、いいんじゃないんでしょうか?

「短期の鉛直震度の検討は、長期の検討結果が0.75(1.33倍の逆数)以下であることが確認できたので省略する」

先に書いたとおり、1.33=4/3なのですから、その逆数は3/4になります。

3/4は0.75です。

方法② 1.33x常時荷重<長期許容応力度 を確認しなけらばならないのなら、

常時荷重÷長期許容応力度 < 1/1.33(3/4=0.75)としても、良いわけですよね?




ただし、長期の検討で0.75以上になると、これは使えません。

なので、長期の検討が0.75以下になるように最初から、設定しておかなくちゃいけない。

例えば、長期検討の結果0.80だったときには、0.80/0.75=1.07 と計算します。

そして、RCなら、鉄筋量を1.07倍、もしくはjを1.07倍以上に変更する。

Sなら、断面係数が1.07倍以上になる部材にサイズUPする。

こうして、長期の検討を0.75以下になるような、おさえかたをしていれば、オールOKになる。



いや、本当に最良の方法は、意匠屋さんに

「片持ち2m以上は、正気の沙汰じゃないっすよ~」

と、進言することかも、、、ね。




参考までに告示と黄色本の抜粋を載せておきます。

※抜粋  平19国交594号 

第2 第三号(に) 

片持ちバルコニーその他これに類する建築物の外壁から突出する部分(建築物の外壁から突出する部分の長さが2メートル以下のものを除く。)を設ける場合 作用する荷重及び外力(地震にあっては、当該部分の鉛直震度(令第88条第1項に規定するZの数値1.0以上の数値を乗じて得た数値とする)に基づき計算した数値とする。)に対して、当該部分及び当該部分が接続される構造耐力上主要な部分に生ずる力を計算して令第88条第一号から第三号までに規定する構造計算を行い安全であることを確かめること。


※抜粋 黄色本 2020年版 P.325 d)

鉛直震度による突出部分に作用する応力の割増し

第三号(に)の規定は、規模の大きな張り出し部分について、鉛直震度も考慮すべきことを定めたものであり、片持ちバルコニー等の外壁から突出する部分について、鉛直震度1.0Z以上の鉛直力により生ずる応力を算定することとしている。例えば短期の許容応力度が長期の1.5倍で場合には、そのことを考慮して常時荷重を1.33倍(=2/1.5)して長期の許容応力度の確認を行う方法もある。なお、例えば先端部分を支持する柱等を設け、鉛直方向の振動の励起を防止する措置を講ずることができれば、本規定における「突出部分」には該当しないものとして検討を不要とできる。また、外壁から突出する部分の長さが2m以下の場合には、振動の励起が生じにくいものとして、本規定の適用を受けないこととしている。


ちょっと疑問、、、【励起(れいき)】って、なんじゃらほい?

ググってみると、励起はエネルギーが高まることらしい、えっ、どうゆうこと?

鉛直方向の振動の励起(=エネルギーの高まり)を防止する、、、共振とかして、異常に振れるのを防止するとか、そんな意味なんでしょうかね~。


ついでに他のコラムも見てね→いっぷく構造屋

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