告示で「片持ち2m以上は検討せよ」とあるで、しなくちゃならない。
ちょっと、面倒くさいので、手抜きしたい。
申請機関から文句言われる方法かもしれないけど、手抜き検討方法を考えてみました。
片持ち2mの鉛直震度の検討方法は、以下の2通りある。
方法①は、常時荷重x2< 短期許容応力度
方法②は、常時荷重x1.33 < 長期許容応力度
方法②の1.33倍の理由は、黄色本に解説があるとおり
許容応力度が、短期=長期x1.5 なのが理由。
どういうことかと言うと、
方法①の 常時荷重x2< 短期許容応力度 に (短期=長期x1.5)を代入してみると
常時荷重x2=長期ⅹ1.5 になる、これを展開すると、常時荷重x2÷1.5=長期になる。
1.5は3/2なので、常時荷重x2x2/3=長期荷重 になる。
2x2/3=4/3なので、1.3333になる。
なので方法②は 常時荷重x1.33<長期荷重 になる。
結局、方法は②は、方法①の変形式なので、まったく同じである。
でも、方法①より、方法②を使ったほうが、便利。
計算書を作るときに、長期の検討は、2m以上とか関係なく、必ずやりますよね?
2m未満なら、長期の検討だけで終了ですが、2m以上は、短期の鉛直震度の検討もやらなければならない。
短期の鉛直震度の検討って、具体的には、なにをするのかというと、方法②を採用する場合は、長期の常時荷重を1.33倍割増した設計応力が、長期許容応力度以下であることを確認します。
わざわざ、割増しして検討するのは、面倒です。
そこで、です。割増し検討はやらずに普通に長期の検討を行って、以下のような文言で逃げておいても、いいんじゃないんでしょうか?
「短期の鉛直震度の検討は、長期の検討結果が0.75(1.33倍の逆数)以下であることが確認できたので省略する」
先に書いたとおり、1.33=4/3なのですから、その逆数は3/4になります。
3/4は0.75です。
方法② 1.33x常時荷重<長期許容応力度 を確認しなけらばならないのなら、
常時荷重÷長期許容応力度 < 1/1.33(3/4=0.75)としても、良いわけですよね?
ただし、長期の検討で0.75以上になると、これは使えません。
なので、長期の検討が0.75以下になるように最初から、設定しておかなくちゃいけない。
例えば、長期検討の結果0.80だったときには、0.80/0.75=1.07 と計算します。
そして、RCなら、鉄筋量を1.07倍、もしくはjを1.07倍以上に変更する。
Sなら、断面係数が1.07倍以上になる部材にサイズUPする。
こうして、長期の検討を0.75以下になるような、おさえかたをしていれば、オールOKになる。
いや、本当に最良の方法は、意匠屋さんに
「片持ち2m以上は、正気の沙汰じゃないっすよ~」
と、進言することかも、、、ね。
参考までに告示と黄色本の抜粋を載せておきます。
※抜粋 平19国交594号
第2 第三号(に)
片持ちバルコニーその他これに類する建築物の外壁から突出する部分(建築物の外壁から突出する部分の長さが2メートル以下のものを除く。)を設ける場合 作用する荷重及び外力(地震にあっては、当該部分の鉛直震度(令第88条第1項に規定するZの数値1.0以上の数値を乗じて得た数値とする)に基づき計算した数値とする。)に対して、当該部分及び当該部分が接続される構造耐力上主要な部分に生ずる力を計算して令第88条第一号から第三号までに規定する構造計算を行い安全であることを確かめること。
※抜粋 黄色本 2020年版 P.325 d)
鉛直震度による突出部分に作用する応力の割増し
第三号(に)の規定は、規模の大きな張り出し部分について、鉛直震度も考慮すべきことを定めたものであり、片持ちバルコニー等の外壁から突出する部分について、鉛直震度1.0Z以上の鉛直力により生ずる応力を算定することとしている。例えば短期の許容応力度が長期の1.5倍で場合には、そのことを考慮して常時荷重を1.33倍(=2/1.5)して長期の許容応力度の確認を行う方法もある。なお、例えば先端部分を支持する柱等を設け、鉛直方向の振動の励起を防止する措置を講ずることができれば、本規定における「突出部分」には該当しないものとして検討を不要とできる。また、外壁から突出する部分の長さが2m以下の場合には、振動の励起が生じにくいものとして、本規定の適用を受けないこととしている。
ちょっと疑問、、、【励起(れいき)】って、なんじゃらほい?
ググってみると、励起はエネルギーが高まることらしい、えっ、どうゆうこと?
鉛直方向の振動の励起(=エネルギーの高まり)を防止する、、、共振とかして、異常に振れるのを防止するとか、そんな意味なんでしょうかね~。
ついでに他のコラムも見てね→いっぷく構造屋